「自由の国アメリカ:戦いと変革の150年(Amend: The Fight for America
Netflixドキュメンタリー・シリーズ

人種差別、男女差別、LGBT差別、移民問題と、アメリカ合衆国憲法修正第14条を巡って、自由と平等を勝ち取るため命懸けで闘った人々の150年の歩みをまとめた6部構成の Netflix オリジナル・ドキュメンタリー・シリーズだ。ウイル・スミスがホストになり、様々な有名、著名人たちが参加している。

まずは、アメンドメント(Amendments)とは何か。それは、アメリカ合衆国憲法本文第5章にもとづき、合衆国議会が 発議し諸州の立法部が承認した、合衆国憲法に追加され、またはこれを修正する条項のことである。現在は27条ある。

では、その中のアメリカ合衆国憲法修正第14条とは何か。その核である第一節にはこう書かれている。「アメリカ合衆国で生まれ、あるいは帰化した者、およびその司法権に属することになった者全ては、アメリカ合衆国の市民であり、その住む州の市民である。如何なる州もアメリカ合衆国の市民の特権あるいは免除権を制限する法を作り、あるいは強制してはならない。また、如何なる州も法の適正手続き無しに個人の生命、自由あるいは財産を奪ってはならない。さらに、その司法権の範囲で個人に対する法の平等保護を否定してはならない。」

この法律ができた時点で、全てのアメリカ市民は平等で自由になるはずだった。しかしこの150年間、そして今でも人々は平等と自由を求める行動を余儀なくされてきている。

様々な歴史的出来事を知っているつもりだったが、このシリーズではそれらが系列的に説明されていて、この150年何がどうやって起きたのか、なぜ起きたのかがとてもよく理解できる。

第1部「市民(Citizen)」
1818年(推定)に奴隷として生まれたフレデリック・ダグラスは1838年に奴隷主から逃亡し、ニューヨークにたどり着く。そして、奴隷廃止論を唱え、講演・執筆・政治家としての活動を通して、黒人へも市民権を認められるべきだと主張、修正第14条が批准されるのに極めて重要な声となった…

第2部「抵抗(Resistance)」
憲法修正第14条が成立して黒人は自由を勝ち取り、政界や経済界へも積極的に進出していった。しかしそれを良しとしない白人至上主義の人たち、特にジョージアを含む南部の白人たちは、様々な映画や教育の場で黒人を悪者として描き、白人のみならず黒人をも洗脳していく。さらに、暴力的な残虐行為、不条理な裁判判決、そして『失われた大義』という思想によって修正第14条はねじ曲げられ、約束された自由と平等は体系的に覆されて、白人社会へと逆戻りしていく…

第3部「我慢(Wait)」
南部では非白人の「有色人種」を差別し、一般公共施設の利用を禁止した州法『ジムクロウ法』がまかり通っていた。黒人は自由だが区別されるというものだ。影響力があり人種差別に反対の人たちにも、まだ抗議行動の時ではないと忍耐を求められていたが、1960年代に公民権運動が勢いを増すにつれ、キング牧師はケネディ大統領を動かすべく、リスクを承知で行動を起こしていく…

第4部「支配(Control)」
1970年代、女性たちは支配からの脱却と男女平等を求めて社会運動を開始した。女性はか弱く、家で妻と母という仕事があり、夫に守られているという保守派の主張に対して、女性も社会に出て男性と平等に扱われるべきだと、憲法修正第14条が定める平等保護の解釈を、性差別にも適用するべく声を上げる…

第5部「愛(Love)」
同性愛者に対する差別と、同性婚の合法化を巡る戦いは、何十年も苦境が続いていた。しかし、2015年に最高裁が、オハイオ州の同性カップルの申し立てを受理すると、戦いは山場を迎える…

第6部「約束(Promises)」
希望を抱いてアメリカに渡った移民たち。だが、不寛容政策、人種差別、そして許されざる暴力が繰り返され、彼らの夢は無慈悲に踏み躙られてきた。安い労働力として雇われ西部に移民してきた中国人たちは、差別され虐待された。中国人排斥法は1882年に制定され、61年後の1943年に修正第14条のもと、やっと廃止された…

ただただ自由と平等と権利を主張してきた者と、それは自分たちだけのものだと主張する者たちとの対立は、2016年にトランプが大統領になったという事実からして、今も続いているし、後者のなんと多いことか。前に書いた「多文化主義と同化主義」や「トランプ元大統領は2度目の弾劾裁判も無罪となったが…」の『ソブリン市民運動』についても参考に読んでいただきたい。

『差別』とは優位に立つ者や立ちたい者が、特定の集団に属したり特定の属性を持つ個人に対して、それを理由にして特別な扱いをすることである。それは肌の色であったり、性別であったり、国であったり、習慣や宗教など様々だ。学校や社会でのいじめもその一つ。これらの様々な『差別』はどこにでも存在し得るし、苦しめられている人はとても多い。自分は誰かを差別してないだろうか?周りに差別をしている人はいないだろうか?差別する理由は何なのか?このドキュメンタリーを観て、考えてみてはどうだろう。

By 西森 テンコー

田舎生まれだが、東京、ニューヨーク、ロス・アンジェルスと大都市に住んだ後、アトランタ郊外に落ち着いた。今は自然を楽しみ、ニュース番組とドラマシリーズや映画を見るのが趣味。犬派だと信じていたが、実は猫派であることに最近気がついた。

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