2022年3月1日にH-1Bビザの企業登録の受付が始まります。H-1Bとは1990年に設けられた短期就労ビザのことで、基本的には4大卒者や同等資格保持者が対象となります。さらに、そのポジションには、大学レベルの特定の専攻分野を通して習得した知識や技術が必要であることが条件です。

年間枠制限.H-1Bの年間発行数には制限があり、一年間に6.5万枠にの一般枠があり、さらにアメリカの修士号以上の学位保持者には追加で2万枠が設けられています。一般枠中6,800枠はチリとシンガポール国籍者に割り当てられます。

オンライン登録システム.申請は、H-1Bの就労開始日である10月1日の6ヶ月前の4月1日から受付が始まります。しかしながら、ここ数年H-1Bの申請者数は年間枠を大幅に上回っているため、申請者はオンライン上の無作為の抽選で選ばれます。雇用主は3月1日東部時間午後1時からから3月18日東部時間午後12時までの間に移民局のmyUSCIS オンライン・アカウントに会社情報とH-1B申請社員の情報を登録します。登録費用は申請社員一人につき$10です。登録が受理されたらオンライン・アカウントにSubmittedという表示がでます。抽選に当選すれば3月31日までにオンラインの表示がSelectedという表示に変わります。ここ数年間は30%~50%前後の当選確率となっています。ただ、米国の修士号や博士号保持者は一般枠で当選しなければ、再度大学院枠の抽選に掛けられるので、大卒者よりは当選確率が少し高くなります。

H-1B申請.当選者は4月から6月の間にH1B申請書類を移民局に提出します。6月までにH-1Bの年間枠が償却されなければ、7月に第2次抽選があります。第2次抽選に当選すれば8月から10月の間にH-1Bを申請することができます。

H-1B年間枠免除.H-1Bの延長申請、過去6年間にH-1Bを取得した人、また、非営利団体の大学機関、大学機関と連携プログラムがある非営利機関(例えば、大学からインターン生を受入れている病院等)、もしくは政府や民間の非営利研究施設等は、年間枠の免除対象となるので、年中いつでもH-1Bを申請することができます。ただ、H-1B枠免除団体からH-1B枠対象企業へ転職するときは、新たにH-1Bの年間枠の対象となるので注意が必要です。

複数企業・転職.H-1Bはスポンサー企業での就労に限定されます。転職希望者は、新規雇用主が新たにH-1B申請を移民局に提出します。H-1Bはパートタイム申請も可能なため、雇用主が複数いる場合は、それぞれの雇用主がH-1Bを申請することで、同時に複数企業で就労することもできます。また、H-1B枠免除団体を通してH-1Bを取得していれば、H-1B枠免除団体での雇用が続く限りは、H-1B枠対象企業が2つ目のH-1Bを同時雇用主として申請することもできます。ただし、この場合H-1B枠免除団体での雇用が終了した時点で、2つ目のH-1Bも無効となってしまいます。H-1B枠対象企業のみで就労するためには、年間枠に当選しなければなりません。

申請料金.H-1Bの初回申請費用は、基本申請料金$460、詐欺防止費用$500(初回申請のみ), ACWIA追加申請料金 $1500(社員25名以下の場合は$750)の3通りの費用がかかります。H-1B枠免除の対象となる非営利団体はACWIA追加申請料金が免除されます。また、社員が50名以上いる場合、社員の50%以上がH-1BやLビザ保持者であれば、従来の申請費用に加え$4,000の追加申請費用が課せられます。その他には、特急申請を希望する場合は、特急申請料金$2500を支払えば15営業日(3週間)以内の審査となります。

平均賃金遵守.雇用主は就労地域の平均賃金もしくは同職社員に支払う賃金のいずれかの高い方をH-1B 社員に支払う義務があります。労働局が発表している平均賃金には4レベルあり、学歴や必要経験年数によって賃金レベルが設定されます。

その他遵守事項.H1B雇用主はH-1B社員の賃金と平均賃金など雇用情報をPublic Access Folderに保管する義務があります。移民局や労働局など政府の監査、或は社員など第3者からの要請があればこの情報を開示する必要があります。また、H-1Bの承認期間終了以前に、雇用主の都合でH-1B社員を解雇した場合、H-1B社員が自国に戻る航空券の費用をオファーする必要があります。


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By 大蔵昌枝

東京外国語大学中国語学科卒業。サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールのJ.D./MBA ジョイント・ディグリー課程卒業、法律博士 (Juris Doctor) および経営学修士 (MBA) の学位を授与される。在学中は、会計監査、法律文書レビュー、外国人学生の移民法関連アシスタント業務などに従事。2004年にジョージア州弁護士資格取得。現在はTaylor English Duma LLP法律事務所のパートナー。著書に『アメリカビザ取得完全マニュアル』『アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制度の発展と意義 』などがある。