数年前、日本の自動車部品メーカーであるタカタ株式会社のエアバッグが、史上最大の自動車リコールの対象となり、大きな話題となりました。リコールの対象となった自動車の数は数千万台に及びます。タカタは2017年に破産保護を申請し、日本の大手自動車メーカーを含むほぼすべての大手自動車メーカーに、欠陥のあるエアバッグに起因するとされる損害につき、クラスアクションが殺到しました。

タカタ・クラスアクションの和解金として、数億ドルが自動車メーカーから支払われました。クラスアクションは、確かに、アメリカ社会において重要な役割を果たしています。しかし、その一方で、欠点の一つとして、通常、賠償金(和解金)の大部分が、訴訟を担当した弁護士に渡ってしまうということがあります。タカタ・クラスアクションにおける賠償金(和解金)の一部は、その後、エアバッグとは無関係の問題で、日本の大手自動車メーカーに対する追加のクラスアクションを提起するために使われています。本稿では、クラスアクションの基本的事項を解説します。

クラスアクションは、一人以上の当事者(通常は個人ですが、企業など法主体の場合もあります)が、「クラス」という大きな原告の立場にある集団を代表して、訴訟を提起することができる法的仕組みです。クラスアクションの利用には、主に2つの政策的メリットがあります。第一に、クラスアクションにおいては、比較的少額の損害を被った当事者が、個人による訴訟提起では追及しないであろう救済を求めることができます。例えば、2年間にわたり、月額1.99ドルを過剰に利用料として支払っていた携帯電話の利用者は、その分の返金を望むかもしれませんが、そのような少額のために、時間と労力をかけて、携帯電話会社に対し訴訟提起をしようとは思わないかもしれません。

第二に、クラスアクションでは、被害を受けた各当事者が、それぞれ個別に訴訟を提起したとすれば、手に負えないような件数の請求を一つにまとめることで、裁判所が訴訟件数をより適切に管理できるようになります。また、合衆国最高裁判所が判示するとおり、「クラスアクション発展の理由としては、矛盾する義務からの被告の保護、訴訟の非当事者の利益の保護、類似の訴訟を処理する便利で経済的な手段の提供、類似の訴訟を提起する多数の訴訟当事者間での訴訟費用の分散の促進等が挙げられます」。

クラスアクションは、米国の州裁判所、連邦裁判所どちらにも提起することができますが、ほとんどの州裁判所は、クラスアクションを取り扱う際に、連邦の法律と判例に忠実に従います。一般に、クラスアクションには、以下の4つの要件が必要とされます。

  1. 多数性。クラス構成員の数が多く個別訴訟(+併合)が現実的でないこと
  2. 共通性。クラス構成員の主張に共通の法律問題又は事実問題があること
  3. 典型性。クラス代表者の請求又は防御がクラス全体の中で典型的なものであること
  4. 代表の適切性。クラス代表者が適切にクラス全体の利益を守ることができること

これら4つの要件に加え、裁判所は、別の訴訟を要求すると、矛盾した判決が出されるリスクがあるか、被告がクラスの構成員に対し、同一又は類似の態様で損害を与えたか、共通の法律問題又は事実問題が個々のクラス構成員に特有の問題より重要であり、クラスアクションが紛争解決により適切か、といった点もしばしば考慮します。

大手自動車メーカーだけでなく、部品メーカー、仲介業者、販売業者等もクラスアクションに巻き込まれることがよくあります。企業としては、クラスアクションが提起されるおそれがある又は実際に提起された場合には、クラスアクションの防御の経験のある法律の専門家に相談することが重要です。


バーンズ&ソーンバーグ法律事務所
エリック・フィッシャー

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