2022年月5月に移民局は特定の就労許可証(EAD)の更新申請の自動延長期間を180日から最大540日に延長する暫定的最終規則を発表しました。この規定は2022年5月4日時点で有効となります。今までは、EADの更新申請中に既存のEAD失効したら雇用が中断されていましたが、この措置によりこのような雇用中断による業務への支障を回避することができるようになりました。

EやLビザの配偶者、学生ビザ保持者、交換留学ビザの配偶者、さらに永住権申請中のものは、移民局にI-765フォームを提出することで就労許可(EADカード)を申請することができます。もともと、就労許可の審査期間は3か月と発表されていましたが、リーマンショック、トランプ政権を経て、ここ数年間移民局の財政状況が非常に不安定であったために、書類審査の効率が悪化していました。さらに新型コロナの影響により一時解雇などで労働力が減少したために状況はさらに悪化し、各種ビザや就労許可証などの審査が大幅に遅れ、このために雇用主は雇用中断や労働力不足で業務に多大な影響を受けていました。また、移民局審査時間の遅れが改善される前に、2021年には就労許可証の申請件数が劇的に増大したために、就労許可証の審査時間はさらに悪化していました。

この暫定最終規定は、EAD 更新申請の自動延長措置の対象となるビザ・カテゴリーにのみ適用されます。自動延長の対象者についてはhttps://www.uscis.gov/eadautoextendを参考ください。対象者は既存の180日の自動延長期間に最大で360日間の追加延長期間が加算されます。これにより、更新申請中は、既存のEADが失効した後も、合計で最大540日間はEADの期間が延長されます。この措置は2023年末まで有効となり、2024年には自動延長期間は元の180日に戻ります。移民局は2023年度末までにEADの3カ月審査の目標を達成するために、この間に移民局内部の人員不足を解消し、効率改善を図る予定です。

現在EADの更新申請中の申請者で180日間の自動延長期間が既に経過した人は、5月4日より既存のEADの有効期限失効から540日間はEADが自動延長されます。この540日の期間内であれば雇用を再開することができます。現在EADの更新申請中の申請者で180日間の自動延長期間中である場合は、既存のEAD失効から最長360日間の追加延長期間が追加されます。従って、延長申請中は最長で540日間は雇用を継続することができます。現在EADの更新申請の申請者で、2022年5月4日時点で既存のEADが有効である申請者、或は2023年10月27日以前にEAD失効前に更新申請を移民局に提出した者は、申請中は既存のEAD失効後最大540日間EADが自動的に延長されます。この自動延長措置は、更新申請の承認通知書受領、或は、最大540日の期間終了、のいずれか早い日に終了します。

上記の措置は更新申請者のみに適用される措置ですが、新規申請者に関しては今後特急申請を申請できるようになります。移民局は今後3年にわたって、全体の審査時間の短縮を図ると発表したために、特急申請の適用範囲を拡大すると発表しました。就労カード申請は現時点では特急申請の対象とはなっていませんが、今後3年にわたって徐々に特急申請の対象となる見込みです。特急申請が可能となれば、特急申請料金$1500を支払えば、現時点でおよそ7~12ヵ月ほどかかっている審査が30日以内で審査されることになります。

尚、EとLビザの配偶者は、2022年1月31日以降国外から入国した場合、I-94のビザ種類にE1S,E2S,L2Sと配偶者を示すSが追記されるようになりました。I-94にこのSの追記があれば、就労カードがなくても、I‐94の滞在期間中は就労できるようになりました。


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By 大蔵昌枝

東京外国語大学中国語学科卒業。サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールのJ.D./MBA ジョイント・ディグリー課程卒業、法律博士 (Juris Doctor) および経営学修士 (MBA) の学位を授与される。在学中は、会計監査、法律文書レビュー、外国人学生の移民法関連アシスタント業務などに従事。2004年にジョージア州弁護士資格取得。現在はTaylor English Duma LLP法律事務所のパートナー。著書に『アメリカビザ取得完全マニュアル』『アメリカの陪審制度と日本の裁判員制度、陪審制度の発展と意義 』などがある。