新型コロナの影響で、特に製造業などは人手不足に悩まされています。その一方では、アマゾン、ツイッターやその他の主要なテクノロジー企業では大量解雇に踏み切っているようです。H-1B 専門職業ビザの大半がIT関連職であるため、この大量解雇によりかなりのH-1B保持者が影響を受けるものと見受けられます。

H-1Bビザ保持者は通常職を失ってから 60 日間、または承認された滞在期間が終了するまでのいずれか短い方の期間まで猶予期間(Grace period)があります。猶予期間中はアメリカに滞在することはできますが、働くことはできません。この期間内に新しい雇用主がみつければ、アメリカ国内において、新雇用主スポンサーによる雇用主変更申請を移民局に提出することができます。特急申請を利用すれば3週間以内に審査が終わります。ただし、追加証拠の要請がくれば、回答を準備するのにさらに1~3か月かかることもあります。

もし、猶予期間内に新しい雇用主がみつからなければ、一旦国外にでるか、或は他のビザカテゴリーへの滞在資格変更申請を移民局に提出することで、アメリカでの滞在期間を延ばすことができます。例えば、猶予期間が切れる前にB2観光ビザ滞在資格への変更申請を移民局に申請することで、申請中はそのままアメリカに滞在して審査をまつことができるので、この間に引き続きアメリカで雇用主を探すことができます。

H‐1Bは一回に3年まで申請できますが、H-1Bで合計滞在期間は6年間までです。従って、今まで使ったH‐1Bの期間を6年から差し引いた残りの期間分申請ができます。もし、過去の雇用主を通して永住権を申請していれば、特定条件を満たしていれば、H-1B を6年目以降も延長することができます。例えば、Labor Certificationを申請してから一年が経過していれば、H-1Bは6年目以降も1年毎に更新することができます。また、インドや中国国籍保持者など移民ビザの国別年間枠があるために、永住権申請に長い待ち時間がある場合、或は、当該年度の年間枠が償却されてしまったために永住権をすぐに申請できない場合は、雇用主スポンサーによる移民申請(I-140)が承認されていれば、H‐1B は6年目以降も3年毎に更新することができます。ただし、過去の雇用主が雇用主スポンサーによる移民申請承認を承認から6か月以内に取消していないことが条件となります。

日本国籍者であれば、管理経験或は専門的な職務経験が十分にあれば、日系企業スポンサーによるEビザの申請という選択肢もあります。H‐1B 、L、Eビザでの雇用が解雇された場合、H‐1B同様、職を失ってから 60 日間、または承認された滞在期間が終了するまでのいずれか短い方の猶予期間内に、新雇用主スポンサーによる雇用主変更申請を移民局に提出することができます。特急申請を利用すれば3週間以内に審査が終わりますが、追加証拠の要請がくれば、回答を準備するのにさらに1~3か月かかることもあります。或は、一旦日本に戻り、日本の米国大使館か米国領事館でEビザの面接審査をうけることもできます。

アメリカ国内で雇用主がみつからなかった場合、或はEビザに値する専門職務経験が十分にない場合は、一旦米国外の関連会社で1年勤務をして、1年後に関連会社間転勤用のLビザを申請するオプションもあります。

カナダやメキシコ国籍保持者であればTNビザへの変更が可能なので、新しい雇用主が見つかれば猶予期間内に移民局へTNビザへの変更申請を提出することができます。一旦国外に出た場合は、メキシコの米国大使館か米国領事館で新規雇用主スポンサーによるTNビザを申請します。カナダ国籍者はビザが不要なので、国境でTNの申請をし、その場で承認されれば入国を許されます。ただし、TNビザはエンジニア、IT関連、医学、会計など特定職種に限定されているので、下記のリンクからTNの職業リストを確認すること。https://www.nafsa.org/_/file/_/amresource/8cfr2146.htm 

オーストラリア国籍保持者の場合はE3ビザを申請できるので、H‐1B解雇後の猶予期間中に移民局にE3ビザへの変更申請を提出することができます。猶予期間内に申請ができなかったら、一旦国外に出て、オーストラリアの米国大使館か米国領事館で新規雇用主スポンサーによるE3ビザの面接申請を行い、ビザが承認されたら米国に入国することができます。


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