タックスリターン(TAX RETURN)について教えてください

連邦政府(Federal)と自分の住んでいる(及び収入を得た)州または市に、日本でいう確定申告を行うことを指します。過払いの税金の払い戻し、あるいは不足分を納税することで、追徴税や罰金を防ぎます。市民権やステータスにかかわらず、アメリカ国内で所得があれば申告が必要です。ただし一部のビザ保持者は除外されることもあります。

パートタイムやOPTなど、収入が少なくても必要でしょうか?

タックスリターンは収入額にかかわらず申告しなければなりません。控除やクレジットなど様々な税法上のシステムがありますので、少額の収入であってもお金が戻ってくる可能性があります。

締め切りを過ぎてしまった場合は?

2022年は4月18日(月)が締め切りでした。IRSよりペナルティーが課せられる場合があります。また、遅延期間分だけ納税額に対して、利子が算出され増税されることがあるので、締め切りに間に合わない場合や、締め切りを過ぎてしまったら早めに会計士に相談しましょう。

申請に必要なものは何ですか?

申請者は必ずソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SSN)を保有している必要があります。新たに米国にやって来た場合は、社会保障事務局に申請し取得します。ただし、現在も新型コロナウイルス感染拡大の影響で、取得プロセスに時間を要する場合があるので注意が必要です。通常、就労ビザの配偶者・扶養者など、SSNがない人は、ITIN(Individual Taxpayer Identification Number)と呼ばれる個人用納税者識別番号を申請します。今回のパンデミックでSSNが取得できていない人にも、ITINの取得が推奨されたのですが、こちらもIRSの対応が停滞し取得できないケースが多くあります。納税義務がある限り、タックスリターンは過去にさかのぼって申請可能です。こういった事情がある場合、対応がそれぞれケース・バイ・ケースになるので、会計士に別途相談することをお勧めします。もう一つ、勤務先から送付されるW2 フォームが申請に必要です。これは1年間の収入と源泉徴収について記した書類です。万一紛失した場合は、再発行を申請してください。

アメリカ国外にいる場合はどうすればよいですか?

申告はどこにいても義務付けられています。オンラインや郵送でも申告は可能です。また、基本的にはどの会計事務所も海外からの相談に対応してくれると思います。今年中に日本に永久帰国したり、別の州に転居したりした場合は、別途申請が必要です。これは次回のコラムで詳しく解説します。

控除(Deduction)について教えてください。

タックスリターンの際に経費などを申告して収入から差し引き、税額を抑えることを指します。固定資産税や住宅ローンの利息分にはじまり、非営利団体やチャリティーへの寄付など、一般的な「経費」のイメージにはない項目も控除の対象になります。基礎控除は1万2550ドル(夫婦合算の場合は2万 5100ドル)までで、誰でも申請できます。これと別に項目別控除(Itemized deduction)もあります。医療費や経費を個別に申請する方式で、もし基礎控除よりも合計金額が多くなったら、この項目別控除を使って申請すると得する可能性があります。家を持っている、申請する州の税金が高いといった人は、この項目別控除を選ぶことが多いですね。

医療費も控除対象と聞いたのですが、どこまでが範囲ですか?

認可された医療費のうち、収入の7・5%以上の金額がかかると控除対象です。医院での診察、治療、疾患予防の他、処方箋、医療保険料も該当します。また、医療・介護保険、介護サービス、禁煙プログラムなどの費用も対象と見なされます。冷暖房器具や除湿機などが当てはまる場合も当てはまることもありますので、詳細は会計士に相談してください。

クレジットは、控除とは何が違うのでしょうか?

控除とは、収入額から控除額を差し引き、課税対象額を減らす事を指します。例としては、基礎控除や項目別控除が当てはまります。その課税対象額より、税金が算出されます。クレジットはその税金そのものを減らす事が出来きます。例としては、Child Tax CreditやChild and Dependent Care Tax Creditなどが当てはまります。パンデミックの影響により、2021年度の確定申告では、様々なクレジットが拡大・緩和されております。詳しくは、会計士にお問い合わせ下さい。

アメリカ在住の日本人が特に注意したい、確定申告のポイントはありますか?

厳密には確定申告ではありませんが、ほぼ同時期に申告締め切りがある「外国金融口座報告書(Report of Foreign Bank & Financial Accounts)」、通称「FBAR(エフバー)」はあまり日本人に知られていないようです。これは、アメリカで確定申告をする必要がある方(税法上のアメリカ非居住者は除かれる)が国外に一定額以上の資産を持つ場合、脱税などの不法行為を防ぐために、アメリカ財務省にその金額を申告しなければならないというものです。アメリカ市民、永住権(グリーンカード)保持者、あるいは就労ビザでアメリカに滞在していてSubstantial Presence Testを満たしている人のうち、アメリカ国外の銀行口座、投資信託口座、生命保険口座などを含め、合計1万ドル以上を保有している人が申告対象です。

今現在で1 万ドルの合計資産がなければ、申請は不要ですか?

現在ではなく、その1年間(今回の申告だと2021年)のどこかで、一瞬でも合計金額が1万ドルを超えていたらその最高額を申告しなければなりません。FBARはあくまで申告を求めるものでありこの金額を基に課税されるものではない点に留意しましょう。ただし、申告の義務を知りながら申告しなかった場合は、最低1万ドル以上の罰金が課せられる恐れがありますので必ず申告しましょう。申告漏れが故意だと認められるほど、罰則が重くなっていくという仕組みです。

FBARをうっかり申告し損ねてしまった場合は、どうしたらいいですか?

もし4月の期日に間に合わなければ、最長で10月ごろまで延長で申告ができるようになっています。もし過去数年分の申告漏れがある場合は、さかのぼって申請することも可能です。FBAR、そしてフォーム8938は個人によって申告プロセスや必要書類が異なりますので、詳しくは会計士に個別にご相談ください。

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