BLACK LIVES MATTER、つまり『黒人の命も大切だ』とアメリカ各地で、また世界中で抗議活動が行われた。きっかけは、チョークホールドと呼ばれるテクニックを使った白人警察官によって黒人男性が窒息死したことだ。偽造紙幣の手配者かもしれないと、コンビニの店員が警察に通報したことでこの事件は起こったが、殺されたフロイド氏は犯人では無かった。あまりにも多くの黒人が何もしていないのに、怪しいというだけで殺される。それがアメリカだ。
この全米で起こっている抗議活動により、やっと多くの企業やコミュニティが賛同し動き始めた。奴隷制度禁止に反対して起こした南北戦争に、敗北したにもかかわらず立てられた南部の英雄たちの銅像も、次々に撤去されている。
ここに来て白人至上主義の人たちは黙ってはいられない。ALL LIVES MATTERと反対する。しかし、彼らが言いたいのはONLY WHITE LIVES MATTERなのだと思う。なぜならALL LIVES MATTERなのにBLACK LIVEが軽視され卑下され差別されているが故、BLACK LIVES MATTERの運動が起こっているのだ。つまり『BLACK LIVES MATTER BECAUSE ALL LIVES SHOULD MATTER』ということだ。
アメリカの大統領が公然と差別的な発言を繰り返しているため、この白人至上主義者たちは、パワーを得たと勘違いし自分たちの主張を大声で張り上げ行動するようになっている。
主義としてのWHITE SUPREMACYもあるが、状況としての白人優遇社会は現実問題として、今日も確実にある。
数年前、明け方4時に裏のドアを激しく叩く音がして家族がみんな起こされるという事件があった。誰かが、執拗にガンガンとガラスドアを壊さんばかりに叩いていたのだ。ここはアメリカだ。その人が銃を持っていないとも限らない。ドアに近づくこともできず警察に通報した。恐怖で電話を持つ手も震え、オペレーターと話す声も震えた。しばらくして諦めたのか家の横を通って前の道路に出たようだった。そこに警官が4−5人やってきてその人を見つけ質問したところ、酔っ払っており自分の家と勘違いしたという。彼は白人だった。そして警察は彼を家までエスコートしたとのこと。Public Intoxication (公衆酩酊罪)とTresspassing(不法侵入罪)を犯したのにだ。これはどうみても白人優遇だと思ったのを覚えている。もし彼が黒人だったらどうなっていたかを想像するのは容易だ。
日本人学生がハロウィーンで行く家を間違えて銃殺された事件は覚えているだろうか?見かけないインド人が歩いているからと通報され、警察がその英語を話せない老人を道路に叩きつけて怪我をさせた事件もあった。
BLMの活動は、黒人だけのムーブメントでは無い。全てのマイノリティの命も白人と等しくあるべきだというムーブメントなのだ。他人事と思ってはいけない。