予想されていたとは言え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が先週始まった。第2次世界大戦以来最大の国による軍事侵攻と思われる。

この軍事侵攻の最大の理由の一つは、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟阻止。プーチンは、ビエト崩壊後独立した東ヨーロッパの国々をNATOに加盟させないという約束(口約束と言われているが、プーチンが作り上げた神話という説もある)が守られていないと主張している。しかしこれは加盟国の選択意思によるものであり、NATOが強制したものではない。

1991年、それまで1つの国だった旧ソビエトが崩壊し、15の独立国ができた。NATOはもともと旧ソビエトとその同盟国の脅威に対抗するための軍事同盟だったが、旧ソビエトの同盟国だったポーランドなどが加盟、さらに旧ソビエトから独立した国々までもNATOに加盟した。その後も加盟国は増え続け、今は30カ国が加盟しており、ウクライナも加盟に意欲を示していた。

ロシアは、ウクライナ内の親ロ派でロシアからの移民が多いドンバス地域をゆくゆくは独立させ、ウクライナには中立国としての立場を望んでいる。つまり西側諸国とロシアの間にクッション(中立か親ロ)を置いておきたいのだろう。

しかし、ウクライナは以前にもロシアとの紛争の末、ソビエト連合国に取り込まれたという歴史がある。また、ロシアにクリミアを乗っ取られたという意識があり、さらにドンバス地域まで奪われるわけにはいかないという立場である。そのように長年ロシアとの確執があるウクライナが西寄りに動きつつあることに、ロシアは反発しているわけだ。それでも軍事侵攻という最悪の選択をしたプーチンに、国際社会からの批判や制裁は免れられない。

歴史を振り返っても、ロシアのこのような軍事侵攻は今に始まった事ではない。太平洋戦争(第二次世界大戦)時、日ソ間には日ソ中立条約があった。同条約は1946年4月まで有効だった。ところが、ソビエト側はこれを一方的に破り、日本に攻撃を仕掛けてきたのである。

1945年8月9日。すでにその3日前に広島に原爆が落とされ、長崎に原爆が落とされるその日に、157万人のソビエト軍が、一斉に嵐のように侵攻した。まさにソ連の裏切りである。日本政府は中立条約の相手国であるソ連を信じて、アメリカをはじめとする連合国側との停戦を斡旋してくれるように、最後の最後までソ連に頼み続けていたという。日本国政府の意図をソ連は十分に知り、仲介するふりをしながら、宣戦布告もなしに、8月9日に突然攻め込んできたのである。北方領土はそのときソ連によって不法に奪われ、今もロシアは自国の領土と主張し続けているのはみなさんもご存じのとおり。

先月から行われているオリンピック、パラリンピック。この国際スポーツの祭典期間の休戦協定にはロシアも賛同しているにもかかわらず、開催中の蛮行は世界中の反感のみならず自国からも非難がおきている。

正式書面協定は守らない、本当かどうかも分からない口約束を主張し続けるし、北方領土、グリジア、ウクライナ等で、ソ連/ロシアがやってきたことは国際常識とはかけ離れている。

戦争はほとんどがその国の指導者とその閣僚の決断で始まり、被害を受けるのはほとんどが侵攻された国の一般市民である。そんなに戦いたいなら日本の戦国時代のように大将(大統領)がまず先陣を切って戦地に行って欲しいが、昨今、そんなことは有り得ない。リーダーは遠隔で指示し、立場が悪くなれば隠れるのが一般的だ。

日本が起した過去の過ち(太平洋戦争)も国を掌握した一部陸軍の決断でおきた。閣僚の中にも反対していた人がいたが、止める事が出来なかった。そして、結果数百万人の死者が出た上に核爆弾が投下されてしまった。対戦緒国にも相当な被害を及ぼし終戦となったが、今回のウクライナ侵攻がそのようにならない事を祈るばかりだ。

現在休戦に向けて両国が会談中にもかかわらずロシアは攻撃を続けており、プーチンは核使用も匂わせて脅している。狂気の沙汰どころではない。彼は柔道家で9段の段位をもち、柔道精神である無力で弱者なものを力で屈服させてはならないと教えられているはずである。また、小さい人が相手の力を利用して大きい人に勝つという柔道用語『柔よく剛を制す』を『銃よく郷を制す』と解釈してるようだ。今すぐ世界中で止めないと、東条英機、ヒットラーに並ぶ世紀の戦争犯罪者として歴史に永遠に刻まれるのは間違いない。

By Sazan