開催賛成・反対の意見が交差する、東京オリンピックとパラリンピック。大会開幕の7月23日まで、2ヶ月を切った。

そんな中、米国務省は24日、日本での新型コロナウイルス感染者の急増を受け、日本に対する渡航警戒レベルを4段階で最も厳しい「渡航中止の勧告」に引き上げた。米疾病対策センター(CDC)は日本への「すべての渡航を避けるべき」だとし、「日本の現状を踏まえると、ワクチン接種を完了した旅行者でも変異種に感染したり、それを広めたりする危険性がある」と警告した。

ホワイトハウスの報道官は「オリンピックについての私たちの立場は変わっていない」とし「日本政府とIOCがオリンピックを計画する際、公衆衛生が最重要であることを強調してきた」「米国大統領は、米国選手団を誇り高く支援する」と述べた。これは一般の旅行禁止勧告とは別に、選手団は保健上の対策に合わせて派遣する案をまだ議論しているということであろう。

しかし、感染力が従来型よりも強いとされる、コロナウィルスのインド型異変種がアジアを中心に広がりつつある中、参加を躊躇する選手や関係者も多いのではないだろうか。

「運動会は中止なのにオリンピックは開催されるの?」素朴な疑問にどう答える? 

日本政府とオリンピック組織委員会は大会期間中、新型コロナの感染拡散を防止するために、参加選手たちに対する外部との接触を遮断する「バブル方式」の環境を構築するという。さらに、6月からは日本の選手団へのワクチン接種を始める。接種対象は600人あまりの代表選手たちと代表チームへの抜擢が予想されている候補選手、彼らと接触する監督とコーチなど、計1600人あまり。

海外選手の場合は、IOCがファイザー社からワクチンを受給し、大会前までに各国と各地域の選手たちの80%以上に接種・完了させる計画だという。

一方 各種競技団体の関係者とメディアなどに対する対策も必要になる。彼らの人数は計7万8000人あまりとされ、選手団の5倍を越えるものと予想されている。宿泊施設や、移動方法など彼らへの対策も万全と言えるのだろうか。

IOC(国際オリンピック委員会)の発言

野党がそろって「オリンピック反対」を打ち出し、公式スポンサーの朝日新聞も中止を求める社説を出し、日本の世論調査でも「中止か延期」を求める意見が8割を超えた。

そんな中で IOC(国際オリンピック委員会)の委員が、「大会は決行する」とか「首相が中止するといっても開催する」とし、「緊急事態宣言が出ていてもオリンピックは開催できるのか」という質問に「絶対できる」と答えた。

しかし、複雑ではあるが、最終決定権はIOCではなく日本政府と東京都にあるはずだ。それなのに IOCが無神経な発言を続ける背景には、オリンピックがドル箱であるという事実。「日本政府や東京都が中止したら、今後オリンピック利権は分配しないよ」と暗に脅しているのだろう。

世界のメディアは? 

ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、イギリスのガーディアンやタイムズ、フランスのリベラシオン……。世界の一流紙は東京五輪について、こぞって「中止すべき」と主張する記事やコラムを掲載した。

ニューヨーク・タイムズは東京五輪が「3週間の一大感染イベントになる」と書き、ワシントン・ポストは IOC のトーマス・バッハ会長を「ぼったくり男爵」と揶揄した。

さて、どうなることか、色々な意味で見守りたい。 

By Sazan

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