今更ですが、12月に公開されたマトリックス・レザレクションズは残念だったという話をしたい。途中ウトウトしてしまったほどで、HBO Maxのサブスクリプションでタダで見れたから良かったが、お金を払って劇場で見ていたら怒り心頭だったと思う。公開に向けて1から3までを見直し、この先はどうなるんだろうと期待に胸を膨らませて見たのが間違いだったのかもしれない。

マトリックスはレボリューションズで終わるべきだった。トリニティはマシンシティに着いた時に船が事故り、鉄の棒が体に刺さり死んでしまう。ネオは両目を失っていたが、平和のためにマトリックスでスミスと戦い、死ぬことでザイオンを守ることができた。ネオの亡骸は輝く朝日に包まれながら、マシンによって運ばれていく。物語の終わりにふさわしい映像だった。

レザレクションでは、この2人を蘇らせるためのこじつけが実に痛い。そして、出てくるキャラクターも誰一人、ネオでさえ重みが無い。ネオは『選ばれし人 (He is the one)』だったはず。つまり神のような存在だったわけだ。それが、記憶も断片的で、精神的に壊れそうな中年になってしまっている。最後のあたりで、トリニティが飛べるようになって、飛べないネオを助ける場面では笑ってしまった。

ネオのおかげでザイオンは平和になり人口も増えて繁栄し、色々変わっていても良いはずなのに、なぜにあまり変わっていない?

どうせ作るなら、スターウォーズのように、1作目の前、マトリックスがなぜどのように始まったのかを作ってもらいたかった。

例えば、昨年マーク・ザッカーバーグが実現に向けて本格的に動きだしたメタバースはどうだろう。3次元の仮想空間での生活が現実よりも楽しく、「現実の世界を放棄して仮想空間のみで生きていく」ことを望む人が増えていく可能性はある。そして、それをビジネスにして、利用者を対象にお金儲けをしようとする人も出てくるはず。そんなサービスを買うと、生身の人間の行き先はカプセルの中である。購入者が増えれば、カプセルやその中の人間の管理をAIやロボットに任せることになる。仮想空間を大きくするためには、希望者では足りなくなり、人工授精で人口を増やしていく。そして、やがてはAIがシステム全てを乗っ取るようになってしまうのだ。そして、マトリックスの第一弾に繋がるのである…というのはどうでしょう。